好文亭を訪ねて

 

 当木工所から歩いて10分程のところに、水戸藩九代藩主徳川斉昭公によって造園された偕楽園があります。

 今年は”水戸の梅まつり”が開幕延期となり、3月1日~3月21日に開催される予定です。(※開催期間が3月27日までの延長となりました。)

 偕楽園では毎年約100品種3000本の梅の花が咲き誇ります。寒い日が続いたので2月27日のこの日はまだ観梅率が21%。例年より少し遅めの開花となっています。

 

 偕楽園好文亭内西塗縁には、今月新たに”樂”~raku~というcafeがオープンしました。お茶をいただきながらゆっくり庭園を楽しめる開放的な空間です。これに際し改めて好文亭を拝観すると、建具の細部にまで思いがけない工夫が施されているのを知りました。

 例えば写真2枚目の「物見引手金具」は、板戸を開けることなく引手部分から室内の状況を確認でき、客人に配慮した造りなのだそうです。ここから時折部屋の様子を伺い、おもてなしの適切なタイミングを見計らっていたとか…。なんともユニーク!また、奥御殿襖絵には日本画家による梅をはじめ、桜、竹、つつじなどが描かれ、各部屋にて四季を感じることができます。他にはどんなアイデアが隠れているんだろう?探し歩くのもひとつの楽しみ方かもしれませんね。

 

 建具はただ開閉する間仕切りとしての機能だけではなく、そこに何らかの工夫や思いが加わることで、おもてなしの心や時には安らぎの効果をもたらしてくれる。歴史的建造物によって、固定観念にとらわれないものづくりを考える良い機会になりました。