板戸っておもしろい!

 

 こんにちは。

 今年も早いもので10月ですね。10月8日は暦の上では”寒露”。徐々に寒さが増し、夜の時間が日に日に長くなってきました。季節の変わり目は体調を崩しがち…。朝晩は特に冷え込むので風邪をひかないよう温かくしてお過ごしくださいね^^

 

 さて、今回はちょっとした小話を。建具の中で最も歴史が長く、日本古来より親しまれてきた『板戸』itadoについてお話したいと思います。

 板戸は文字通り、上下桟・框に鏡板と呼ばれる一枚板をはめ込む建具です。現代では、まっさらなシンプル板戸というより、デザイン性のあるガラス帯戸、格子板戸や無双窓付きなどの板戸が流通しています。特徴や目的はそれぞれ異なりますが、通気性やプライバシーを守る機能を兼ね備えた、建具の中で最もポピュラーな間仕切り戸と言えるのではないでしょうか。

 

 時はさかのぼり飛鳥時代、お寺の出入り口に一枚板戸が使われたのが建具の始まりと、とある資料で読んだことがあります。当初”開き戸”だったものが、次第に”引き戸”に変化していったそうです。それから長らく木製の間仕切り戸が主流だった世の中は、戦後しばらくすると新たな産業が発展し、木製建具業界も生産性や洋式建築の需要高などのあおりを大きく受けることとなります。しかし近年、古民家やアンティーク建具・家具が見直されるようになり、”捨てる・壊す”から”活かす”という、勿体ない精神の考え方が再び高まってきているように思います。実際に私たちのところにも、リノベーションや古い建具・家具を修理したい。といった案件を以前よりも多くいただいております。

 

 今後木製建具は、間仕切りとしての機能だけではなく、加えてアートという観点からも多様されていくことが期待されています。かつての日本文化では、板戸に花鳥風月を描き、暮らしのなかに絵画(風情)を取り入れていた様子が伺えます。決して贅沢なものとして扱われるのではなく、身近にあり暮らしに調和するもの。そんな今までにない板戸の世界が少しずつ広がりつつあるようです。そしてよかったら是非、おもしろ建具を実際に見つけてみてください。通勤でいつも通る道や、旅先のふとした景色のなかに、実は歴史ある建具や一風変わった木製建具が隠れているのかもしれません。

 

【参考資料写真】

 一枚目と二枚目の写真は、水戸市弘道館に隣接されています「孔子廟」という歴史的建造物です。(水戸駅北口より徒歩約10分)

 昔の開き戸建具(蔀戸:しとみど)が拝見できる貴重な資料として掲載させていただいております。こちらの特別公開は、今年3月の観梅時期に現地へ訪れた時の写真です。▶写真をタップしてみてください!ちょっとした解説があります。