建具加工の必需品、お馬さん

 みなさまこんにちは。徐々に蒸し暑くなってくるこの季節、いかがお過ごしでしょうか?

 近ごろはバラの花の話題がちらほらと聞こえて来ますね。バラの花言葉は、「美」「愛情」。特別なときにお目にかかれる花というイメージですが、気軽に植物園やバラ園などを散歩すれば様々なバラに出会うこともできます。優雅な香りに包まれて普段よりも気分が上がり、この時期ならではの週末の楽しみにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

 さて今回は、当木工所で代々受け継がれている建具加工の必需品、お馬さんについてご紹介したいと思います。これは加工時、建具の下に添える木材道具になります。

 むかしの職人は作業効率を上げるため、道具を自分で作ることが多々あったようで、作業場ではいくつか祖父(以後じいちゃんと表記します)や父から受け継いだ手作り工具・道具が今もなお活躍しています。お馬さんというのは丁寧な言い方で、普段は「馬!」と呼んでいます。写真をご覧いただくと分かるように、長年使い古しているため角がとれて丸くなっています。所々キズや凹みがありますがなかなか壊れることはありません。

 

 馬の使用用途は、建具の戸車・蝶番の取り付けや交換の時、あとは建具の高さを切り詰める時などです。建具は地面に直置きできませんので、こういった作業時に建具を汚したりキズをつけることなく大活躍してくれます。

 

 自分がまだ若い見習いの頃、じいちゃんと一緒に仕事をしたのは約2年ほどの間でした。当時、建具のいろはを直接教わった事はそう多くはないですが、作業の傍らにはいつもこの馬がありました。思い出の詰まったこの道具はこれからもずっと愛用していきたいです。