みなさまこんにちは。寒さが身に沁みる冬至、いかがお過ごしでしょうか。加えて今日は『一陽来復:陰極まりて陽に転じる日』とも云われていますね。この日を境に日照時間が少しずつ長くなり、翌年に向けて気持ちを切り替える時期と捉える方もいらっしゃるのではないでしょうか。とはいえ、まだ寒い冬は続きますのでどうか風邪などひかないよう温かくしてお過ごしください。
突然ですが先日、栃木県を訪れた際に古い建物が目に留まり立ち寄ってみることに。そこは国指定重要文化財・宇都宮市指定文化財の豪商、旧篠原家住宅でした。敷地内の一番古い建物(文庫蔵)は嘉永四年に建てられたもの。現存する主屋と蔵を含め、とても太く立派な柱や梁が特に存在感を放っていました。そのほか壁材、床材、建具材などは良質な天然素材によるもので、当時の職人さんたちの技巧が間近で拝見できるというのは本当に貴重な体験でした。
さて今回は、お餅つき準備のお手伝いについてお話しようと思います。
ご依頼いただいた内容は杵の修理です。長年使用されていた杵の先はひび割れていたため、傷んでいる先端は切りおとし、表面を磨いたあと面取りを施しました。
自分の幼少期ではよく見かけていた杵と臼によるお餅つき大会。最近ではなかなか目にすることが無くなっていました。みなさんの周りではいかがでしょうか?木工を生業としていますと、こうした杵に限らず古い建具の修復にしても、近年改めて日本の文化が見直される再生のニーズが高まってきているように感じます。
再びこの杵がみんなの輪の中で活躍し、熱々のお餅がふるまわれる様子が目に浮かぶだけでも顔がほころびます。先人や親が繋いできてくれた文化を受け継ぎ、こうして修理しながら後世に渡していくのは、我々のささやかな努めなのではないかとひしひしと感じられた内容でした。