春分の候、いかがお過ごしでしょうか。
春の半ばともなれば花々がそこかしこで咲き始め、いよいよ春爛漫の日和を迎えようとしていますね。ふと空や道端の草花に目をやると、鳥や虫たちが待ち遠しかった春を知らせてくれているかのようです。父もこの頃になると「空気が変わったな。春の匂いがする。」と、いち早く教えてくれるうちのひとり。今や有難いことにスマートフォン等で天気予報を見聞きすればいつでも詳しい情報を得られますが、個々人の五感や肌感覚に委ね季節のうつろいに気づくのは、自然の恵みを受けた元来の豊かな暮らしなのではないでしょうか。そしてこれは私の経験談になりますが、歳を重ねるにつれ花に対する想いが深まっていくのもまた愛おしいものです。みなさまはこの季節、どのように春を感じていますか?
さて話は変わりまして、昨年より水戸市千波湖近くの懐石料理『とう粋庵』様が店舗を移転されるとの知らせをお聞きしていました。
旧とう粋庵様施工当時、先代の父と一緒に建具や什器を製作・納品させて頂いた際にはたいへんお世話になりました。こちらの店舗デザイン設計は茨城町の渡辺工房様によるもので、建物入り口の引き戸建具は父が製作しており、その引手は天然木を用いております。写真の状態に至るまでにはたくさんの方がそこを触れたであろう経年変化は、年月を重ねたことで木そのものが何か語りかけているかのよう。またこのような趣ある侘び、特に寂びが拝見できるのは天然木ならではの風合い。私たちも食事に伺った思い出がふと心に浮かび、様々なシーンに立ち会ってきたその長い歴史に少しでも関われていたのかと思うと非常に感慨深いものです。
とう粋庵様には、これらの内外装建具を長年お使い頂き、ご愛用頂きまして本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
現在とう粋庵様の新しい移転先は、旧店舗から車で約5分ほど離れた水戸市見川町になります。先月2月にグランドオープンされていますので、季節の料理をお求めの際はぜひチェックしてみてください。